野球のはなし

 子供の頃は、空き地で草野球をよくしたが、梶原一騎原作の巨人の星、侍ジャイアンツや水島新司さんの野球漫画を読むのも好きだった。そのような漫画には魔球が出てくる。魔球を投げれば打たれないのだが、しばらくすると、打者がその魔球を打つ打法を見つけて打ち返してしまうのである。その繰り返しなのだが、ハラハラすると同時に熱中していた。同じように熱中している友達が居て、団地と団地の間の芝生で、プラスチックのバットとゴムのボールで、お互いプロ野球の選手や野球漫画の登場人物成り切って、2人野球をよくした。相手が投げたゴムのボールをプラスチックのバットで打ち返して反対側の団地まで飛ばすと、「〇〇選手、逆転ホームランです」などと解説しながら、グラウンドを一周する演技をして友達にアピールした。

 中学生の頃には、友達に誘われて日本ハムファイターズのファンクラブに入った。年会費は子供の小遣いで払える程度の額だったと思うが、毎月選手の載った冊子やグッズが送られてくる。そして、後楽園球場で試合がある日は、外野席や外野席近くの内野席に会員証又は送られてくるチケットを見せると無料で入れた。その当時は一番パリーグが人気がない時代で、ジャイアンツの試合と正反対に特別な試合でなければいつも球場はガラガラだった。日本ハムは3番も4番も助っ人外国人(ソレイタとクルーズ)だったことも多かったが、この助っ人外国人が結構頼りになって中盤に逆転ホームランを打つとうぉーという歓声と共に球場全体がどよめいた。クリーンナップにいた柏原選手には、柏原選手用の応援というのがあって、柏原選手がバッターボックスに入ると、応援団の人が一定のリズムで太鼓を叩いて、最後に観客も「かっ飛ばせ―柏原」と声援を送る。これをピッチャーが球を投げるまで続けるのだが、この太鼓のリズムは今も耳に残っている。

 去年は、「2か月無料」に釣られてシーズン終了まで、DAZNに入っていた。社会人になってからはプロ野球もあまり観なくなってしまい応援するチームもなかったが、なんとなくロッテの試合を観るようになった。テレビ中継と異なりネットだと解説者もアナウンサーも少し砕けた感じになるので、本音の発言も出やすく観ていて楽しかった。ただ負けてしまうと、夢から覚めたような残念な気持ちになり3時間も何をやっていたんだと後悔する。後味が悪いのである。それでも、野球愛は変わらない気がする。