ユーチューブでYMOの結成当時の映像を観る。ライディーンという曲は、黒沢明さんの映画に触発されて出来たらしい。最初の出足は馬の蹄の音。ライディーンという曲名は、その当時のテレビアニメの題名である事を知る。YMOのスタイルが確立するまでは、実験的な曲作りが続いたようだ。(1枚目のアルバムはあまり売れなかった。)アメリカでのコンサートの成功がきっかけとなって人気に火が付き一躍有名になる。タンスと呼ばれるほど馬鹿でかいコンピュータを楽器と一緒にステージに設置していたが、コンサートの直前に停電でデータが消えてしまうハプニングもあったようだ。ドタバタした出来事もいろいろあったようだが、YMOの三人や矢野顕子さんも若くて野心的だったことが伺える。小学生の頃、テレビで放送された欧米での熱狂的なコンサートを観ただけだが、衝撃的でいつまでも記憶に残った。
その後YMOの後に続くようなテクノ系のミュージシャンが出て来る事を期待したが、本当に長い間出て来なかった印象がある。そんな中で、現在活躍しているPERFUMEが、音楽的にも洗練されているし、ビジュアル的にも演出がうまいし、女性三人のユニットはダンスや歌、ファンとのコミュニケーションという部分で華を添えている感じで、YMOと比べても見劣りしないグループに思える。PERFUMEのコンサートの様子を映像で観たが、コンピュータ・グラフィックの映像とメンバ三人のパフォーマンスを合体させてファンを驚かすような所もなんとなくYMOと似ているように思う。
YMOの曲を聴くと、架空の未来都市を想像する。身の回りには存在しなかったコンピュータやステージ上で演奏するYMOメンバの姿やシンセサイザーでの演奏に圧倒されて、空想が膨らんだのかもしれない。その当時は、堺正章さん主演の西遊記というドラマ(主題歌がゴダイゴのモンキーマジックとガンダーラ)や松本零士さん原作の銀河鉄道999というアニメなど、幻の憧れの地を目指す話が多かった事も関係しているかもしれない。大人になると実体のない空虚さに気づくのだが、結構長い間YMOの音楽へのロマンチックな想いがあった。現在では、逆に、メタバースや映画、ゲーム、アニメなどで、そのような架空の都市を再現するクリエーターがたくさん居る。
音楽制作も近頃は、DTMと言って身近にあるパソコンと専用のソフトだけで曲が作れてしまう。さらに、歌声まで初音ミクなどのソフトで作れる。そのような歌声が入っている曲にアニメーションを付けて、ニコニコ動画やユーチューブなどネットにあげるのが流行らしい。そういう曲を作る人をボカロPと呼び、米津玄師さんも、ボカロPからメジャー・レコード会社でデビューしたようだ。人気ボカロPの曲をユーチューブで聴くと、曲自体はそれほど個性があるとも思えないが、歌詞と映像に特徴があって、観ていて楽しい。マイケルジャクソンのミュージックビデオと同じように映像と曲合わせて一つの作品という感じだ。ユーチューブでの再生回数を見ても新しいジャンルのプロなのかもしれない。バンドを組んで楽器を演奏するには、メンバや演奏ができる場所が必要になる。それに比べると、DTMの機材を揃えることはそれほどの敷居の高さではない。歌が下手でもいい。DTMには、だれでも参加できる裾屋の広さがあるように思う。いつの日かYMOのように世界中の音楽好きがひっくり返るような曲を作るボカロPが現れても不思議ではない。