人生のはなし

早瀬、お前は生まれ持っての幸運だ。普通の家庭、普通の両親、普通の学校に行っているということ、その普通が幸運なんだ。

早瀬、お前このままだと幸運を逃すことになるぞ。自分が幸運だと気づかない。そういう人間は、結局不幸な人生を歩むんだ。自分が幸運だと分からない人間は、現状に満足できない。ずっと何かを追い続ける。だがそこには覚悟がない。だから、ちょっとつらくなったらやめる。はい次、また次と長続きしない。

幸運にも次から次へと与えられたことが、お前の覚悟を弱らせている。そんな人間が幸せになれると思うか?絶対に合格してやる、その覚悟を持てれば、まわりなんか気にならない。幸せになりたかったら、お前は覚悟を決めろ。

                       引用:日曜劇場 ドラゴン桜 第7話

 東大模試の結果をみて途中で東大受験を諦めてしまう女子生徒早瀬(南沙良)に向けて、桜木(阿部寛)が語るセリフである。

 簡単に自分の欲しいものが手に入ってしまうような恵まれた環境に育つと、人は幸せなことを当たり前だと考えてしまう。その結果、自分が欲しいものが目の前にあってもそれを掴み取るんだという強い覚悟(ハングリー精神)が生まれにくい。

 映画「前科者」では、子供の頃の親からの虐待が尾を引いて、大人になってからも普段はおとなしい性格の人物が怒りをコントロールできずに犯行を犯してしまう。現実を受け入れらずに葛藤する人物を役者がうまく演じていた。

 人生に近道なしと言う。人は遅かれ早かれつまづく。

 つまづいたとき、自分のなかのバイアスに気づけず自分と向き合えないでいることは最大の不幸である。